○メッセージ
私が、弁護士になって間もなくのころに取り組んだ事件に、日本最古にして最大の職業病といわれた、じん肺の裁判がありました。
じん肺裁判は、鉱山や炭鉱、トンネル工事に従事する労働者が、粉じんに暴露されたことにより、不治の病であるじん肺という肺疾患に罹患し、患者やその遺族が企業と国の責任を追及する裁判でした。複数の企業の共同不法行為責任を追及することになりましたが、異なる企業の、異なる作業現場での粉じん作業における共同責任が問えるのかどうか、国の規制権限不行使の責任や時効問題など法的にも難題を抱えた裁判でした。しかし、じん肺患者の苦しみに寄り添って、法的難題を乗り越え、最終的にじん肺患者の救済に繋がる成果を勝ち取ることができました。
私は、こうした事件の経験を通じて、弁護士として当たり前のことですが、事件の本質と真実は何かを探求することの大切さを学びました。40数年間、いろいろな分野の事件に携わってきましたが、今でも常にこうした教訓を思い返しながら、切磋琢磨し仕事に取り組んでいます。 |